トランサミンの併用禁忌・注意薬のまとめ

トランサミンの併用禁忌・注意薬について解説

 

トランサミンだけでなく、ほとんどの医薬品には併用禁忌や注意薬があります。

 

ここでは、トランサミンとの併用に気を付けるべき医薬品を紹介します。

 

目次

 

トランサミンの併用禁忌薬~トロンビン~

 

トランサミンはもともと止血薬として使われています。血液はフィブリンという物質によって固まって「血栓」となるわけですが、プラスミンがフィブリンを分解してしまうので、止血の際はじゃまになります。しかし、トランサミンを服用するとプラスミンが阻害されるため、フィブリンが血栓を作りやすくなるわけです。

 

この「フィブリン」ですが、肝臓で作られる酵素蛋白質「プロトロンビン」が材料となっています。

 

プロトロンビン → トロンビン → フィブリン

 

という活性化のルートをたどるため、トロンビンの量が増えるとフィブリンもその分増加し、血栓を作りやすくなります。

 

トロンビンはもともと体の中にある物質ということになりますが、外科手術で出血が多くなったときなどに外部から摂取することもあります。フィブリンが増えて止血効果が高まるためです。

 

もしこのとき、トランサミンを服用していると、トロンビンの摂取によってフィブリンが増え、なおかつトランサミンの効果によってフィブリンが分解されにくくなるため、血栓ができすぎてしまうことになるのです。

 

トロンビンが医薬品として処方されるケースはほとんどないので、普段生活していてトランサミンと併用してしまうケースはほぼありません。しかし、もし事故などにあって出血が多いときは、トランサミンを服用していることを医師に伝えて、トロンビンと併用してしまうことがないようにしてもらう必要があります。

 

トランサミンの併用注意薬のまとめ

 

トランサミンとトロンビンは併用禁忌となっていますが、他にも「併用注意薬」があります。ここで1つ1つ解説していきます。

 

ヘモコアグラーゼ

 

ヘモコアグラーゼはヘモグロビンと塩を形成する物質となります。止血作用があるほか、トランサミンと作用機序が違うため、大量に併用すると血栓ができすぎてしまうおそれがあります。

 

トロンビンと同じく、普段の生活で処方されることはほとんどありませんが、出血が多く手術になる場合などは注意が必要です。

 

バトロキソビン

 

バトロキソビンはトランサミンとは逆で抗血栓薬となっており、血栓の分解を促します。慢性動脈閉そく症(バージャー病、閉塞性動脈硬化症)による虚血性諸症状に利用されるほか、突発性難聴の治療などにも利用されることがあります。

 

バトロキソビンはフィブリン・ポリマー(フィブリンが集まって網目状になったもので、血管の傷などを塞いで出血を防ぐ)を分解する作用がありますが、トランサミンを服用するとフィブリンポリマーの分解が阻害されるため、血栓塞栓症を起こす恐れがあります。

 

そのため、トランサミンとバトロキソビンは併用注意となっています。併用リスクがあるのは突発性難聴の治療時くらいですが、診察を受ける際にトランサミンを服用していることは伝えましょう。

 

血液凝固因子製剤

 

血液製剤の分類

全血製剤 血液そのもののことで、「輸血」の際に使われるものを指す。
血液成分製剤 全血製剤を遠心分離によって分離し、赤血球や血小板などに分けたもの。
血漿分画製剤 全血製剤に遠心分離を行い、必要なタンパク質などを分離したもの。

 

↑はいわゆる「血液製剤」の分類となりますが、このうち必要なタンパク質を分離したものを「血漿分画製剤」と呼びます。その中の一種である「凝固因子製剤」はトランサミンと併用注意となっています。

 

凝固因子製剤は、血友病患者で出血が止まらないときに、止血のために利用されます。

 

血友病でない場合は服用する機会はありませんが、もし血友病で治療をしているならトランサミンの服用は要注意です。

 

この医薬品は併用・飲み合わせはOK?

 

トランサミンはシミ・肝斑治療の場合、1~2カ月間という比較的長期間服用する医薬品となります。なので、「他にさまざまな医薬品を服用していて、併用が心配」という人もいるでしょう。

 

ここでは、利用している人が多い医薬品を中心に、併用してもいいかどうか、注意点などを解説します。

 

咳止め・風邪薬

 

風邪を引いたときによく処方される医薬品に、鎮咳薬(咳止め)や鼻水・鼻づまりの治療薬、痰切りの治療薬などがあります。

 

医薬品名

効果

アスベリン

咳止め

アストミン

咳止め

フスコデ

咳止め

メジコン

咳止め

レスプレン

咳止め

アンブロキソール

喉の炎症を鎮める

エンピナース

喉の炎症を鎮める

ムコダイン

咳止め、痰切り、鼻づまり防止

 

↑のような医薬品と一緒にトランサミンが処方され、併用を気にする人がいるようです。

 

これらの医薬品は基本的に風邪などで「咳」「のどの痛み」「痰」「鼻づまり」などの症状が出ている際に処方されるものです。同じく、トランサミンも喉の痛みがあるときに処方されるケースが多いので、併せて処方されるケースは多いです。とくに、ムコダインは風邪で処方されることが非常に多いので、風邪でトランサミンが処方された場合はほとんどムコダインが一緒についてくるでしょう。

 

いずれもトランサミンと飲み合わせについては全く問題なく、心配することはありません。むしろ、風邪の症状を素早く治すために処方されているので、なるべく同時に服用して早めに風邪を治しましょう。

 

また、パブロンやルルといった市販の風邪薬についても、トランサミンとの併用・飲み合わせはOKです。市販の風邪薬には「アセトアミノフェン」という解熱鎮痛薬が入っていることが多いですが、トランサミンとの併用は問題ありません。

 

抗生物質

 

風邪などの細菌性の病気にかかったときは、抗生物質を飲むことが多いです。抗生物質は

 

フロモックス、メイアクト、クラリス、クラビット、ジスロマック

 

などなど、いろいろな種類があり、処方される機会も多いはずです。

 

まず結論から言うと、抗生物質とトランサミンの併用・飲み合わせは問題ありません。添付文書でも併用注意扱いとはなっていませんし、病院で風邪の治療時などに同時処方されることはよくあります。

 

ただ、ちょっと注意したいのは、抗生物質は胃腸への負担がやや大きいということです。ほとんどの抗生物質は、副作用として「胃痛」や「下痢」「便秘」といったものがついてまわります。

 

そして、トランサミンも確率は低い(1~2%程度)ですが、消化器系の副作用があります。そのため、飲み合わせの相性が悪く、胃腸系の副作用が増強されてしまうケースはわずかながらありえます。もし抗生物質とトランサミンを併用して、胃腸障害が大きくなったという場合は、たまたま飲み合わせが悪かったと思って併用を中止したほうがいいかもしれません。

 

痛み止め、解熱鎮痛剤(NSAIDs)

 

解熱・鎮痛剤も「よく利用している」という人が多い医薬品になるでしょう。中でも、NSAIDsと呼ばれる鎮痛剤は非常に種類が多く、知名度も高いです。

 

ロキソニン、ボルタレン、イブプロフェン、アスピリン、ポンタール、インドメタシン

 

などの医薬品はすべてNSAIDsとなっており、非常に多くの人に利用されています。「バファリン」「イブ(eve)」といった市販薬も、NSAIDsです。

 

これらのNSAIDsに関しても、トランサミンとの併用注意とはなっていません。「手元にトランサミンがあるけど、市販のロキソニンを飲んでもいいかわからない」と言うこともあると思いますが、基本的にはOKです。

 

ただ、抗生物質の場合と同じく、NSAIDsにも消化器系の副作用があります。NSAIDsの場合は「胃」の方に偏っており、胃痛や食欲不振といった症状が出て、ひどい場合は胃潰瘍になってしまうケースもあるほどです。なので、ロキソニンなどの鎮痛剤は必ず食後に飲むことになっています。

 

そして、トランサミンにも消化器系の副作用があります。NSAIDsで胃が弱っていると、トランサミンの副作用が出やすくなる可能性もあるほか、お互いの副作用が合わさって症状が重くなる可能性も否定できないので、あらかじめその可能性は考慮しておくべきでしょう。症状があるようなら、胃腸薬などを服用して対処するとよいでしょう。

 

抗アレルギー・花粉症

 

花粉の季節になると、花粉症になってしまう人は多いはず。

 

アレグラ、エバステル、ザイザル、ポララミン

 

そうなると、↑のような治療薬が欠かせなくなってくるでしょう。

 

ただし、注意点もあります。これらの抗アレルギー・ヒスタミン剤も抗生物質や痛み止めの場合と同じく消化器系の副作用があるため、トランサミンの副作用と重複して症状が重くなる可能性はあります。もしアレグラなどを服用して胃腸の調子が悪くなりやすい体質なら、トランサミンを併用する際は慎重に行ったほうがよいでしょう。

 

胃腸薬

 

胃痛や胸焼け、胃もたれや、下痢・便秘といった胃腸障害は、日本人の国民病と言ってもいいくらい多くの人が悩んでいます。そのため、なんらかの胃腸薬を服用している人も多いでしょう。

 

ムコスタ、ガスター、タケプロン、パリエット、ネキシウム など

 

処方される医薬品としては↑がありますが、市販薬を合せるともっとたくさんの胃腸薬があります。

 

まずトランサミンと併用してもいいか、という点についてですが、こちらも問題なしとなります。添付文書上に、これらの胃腸薬との併用注意の記述はありません。

 

また、抗生物質や痛みどめとトランサミンの併用の場合は消化器系の副作用の問題がありましたが、胃腸薬の場合はむしろトランサミンの副作用を緩和する可能性があるので、飲み合わせとしても良好と言えるでしょう。

 

ただし、胃腸薬を服用するということは、何か胃腸障害があるということですから、トランサミン服用時の副作用については注意が必要です。

 

抗不安・睡眠薬

 

服用している人がたくさんいるという意味では、

 

デパス、ワイパックス、ソラナックス、メイラックス、レキソタン、アモバン、ルネスタ、ロヒプノール、レンドルミン など

 

↑のような睡眠薬・抗不安薬もトランサミンとの併用機会が多くなるでしょう。まず第一に、抗不安・睡眠薬はトランサミンの併用注意ではないので、併用自体には問題ありません。

 

これらの睡眠薬・抗不安薬にも、一応消化器系の副作用(0.1~1%程度)があるので、トランサミンと副作用が重なる可能性はあります。ただ、NSAIDsなどに比べて胃腸障害の可能性は低いので、飲み合わせについてもそれほど気にしなくてもよいでしょう。

 

ピル

 

女性の場合、ピルも使用している人が多い医薬品となるでしょう。

 

トリキュラー、ダイアン、ヤスミン、アイピル

 

などの種類がありますが、トランサミンとの併用注意には指定されていません。そのため、併用自体に問題はありません。

 

ただ、ピルの中には血栓症の副作用を起こすものがあり、血栓ができやすくなるトランサミンとの飲み合わせはそれほどよくありません。もちろん、併用していて何も問題ない女性もたくさんいますが、念のため血栓症のリスクがあることは頭に入れておいて、体調がすぐれなくなったときはすばやく医師に相談するようにしましょう。

 

ワーファリン

 

使用している人はそれほど多くはありませんが、医薬品との併用がよく問題になるものに「ワーファリン」があります。妊婦が併用してはいけないほか、「納豆」と一緒に服用してはいけないなど、何かとルールの多い医薬品なので、トランサミンとの併用で気になる人もいるでしょう。

 

ワーファリンとは「血栓症」の治療に使う医薬品となります。かんたんにいうと血をサラサラにして、血栓ができないようにする作用があります。トランサミンは血栓ができやすくなる医薬品なので、相性が悪そうに見えます。

 

ただ、結論としては併用は問題ないとされています。ワーファリンの作用の方が強いので、トランサミンを服用しても基本的には体が血栓ができないように作用します。ワーファリンを服用するということは、トランサミンを止血目的で服用している場面ではないということです。抗炎症やシミ・肝斑対策でトランサミンを服用しているなら、ワーファリン併用の問題はないでしょう。

 

手術などで止血を重視しないといけない場面になったら、まず真っ先にワーファリンの服用をやめることになるので、そもそも併用になる心配はありません。

 

トランサミンの併用・飲み合わせまとめ

 

まず第一に、トランサミンで正式に併用禁忌・併用注意として挙げられているものは「トロンビン」や「ヘモコアグラーゼ」など、「血液の凝固」に関するもののみとなっています。なので、止血が必要だったり、血友病などでない限りは、正式に併用禁忌・併用注意とされている医薬品とトランサミンを併用してしまうこと自体がありません。

 

あとは一般的に使われることが多い医薬品とトランサミンの併用・飲み合わせについてですが、基本的には「消化器系の副作用」がポイントになります。医薬品は胃痛や下痢など消化器系の副作用が出るものが多く、トランサミンの副作用と共通するため、副作用が重なってしまう点は注意が必要です。

 

ただし、すでに書いたように正式に併用禁忌・注意となっているわけではないので、併用自体は問題ありません。もし併用が必要なケースになったら、見出しの一覧から該当する医薬品を見てみて参考にしてください。その上で、問題があった場合は医師のアドバイスや診察を受けるようにしましょう。